女将のゆみこです。

前回はおしぼりのお話しでしたね。

お店に入るとまず出てくるおしぼりですが、

実はおしぼりは、外から持ち込んだ

穢れ(汚れ)を清める役目をしていたという事でした。

そしておしぼりで手を拭き、清めて・・・

さぁ いよいよお料理をいただこうと箸を取ったら・・・

何やら箸の真ん中に紙が巻いてある?

                        ↑↑↑

このお箸に巻いてある紙は「帯」と言いいます。

会席料理を食べに行くと、大体は箸袋に入ったお箸ではなく

お箸の真ん中に帯がしてあるお箸が出てきます。

この帯ですが、

絶対に破いてはいけません。

なぜなら、

お店の方が悲しむからです・・・

どういう事かと言うと、

この箸帯を破くという行為は

「そのお店と縁を切ります」

という行為なんですね。

びっくりでしょ。

さぁ今から美味しいお料理を頂こうとしているのに

いきなり、縁を切るなんて、

お互い気まずいですよね。

でも、この箸帯からお箸を抜こうと思っても

なかなか抜けませんよね。

そうなんです、

お箸を二本ともいっぺんに抜こうとするから

抜けないんですよね。

まず、一本ずつ抜いてください。

するとあら不思議スッと抜けました。

このお箸は利休箸と言って

千利休さんが、茶懐石を催す際に

竹を切ってきて、一人一人の為に箸先を削って作ったお箸で

利休箸と呼ばれています。

 

ただ、利休さんと同じ字をあてるには

利休さんに失礼だということで、

利久箸とした説と、

商売人の間では、利休箸・・・

利を休ませる箸なんてよくないよね、

利が久しく続く箸の方がいいよね、

ということで利久箸とした説もあるそうです。

商売人が朝も昼も夜も

「おはようございます」というのも

「こんにちは」や「こんばんは」は

客が「来ん(こん)」←大阪弁

に繋がるがらだそうですが、

縁起を担ぐ商売人ならではの

発想ですね。

そして、利久箸に戻りますが、

このお箸は真ん中が膨らんでいて

両先が細くなっていますが、

これは「神人共食」と言って

一方は人間が使い

もう一方は神様が使うために

細くなっています。

 

決して取り箸に使うために

両方が細くなっているのではないので、

気をつけてくださいね。

お箸について、

次回はお箸には「格」があるんですよ。

というお話をしたいと思います。

今回も最後まで読んでいただき

おおきに~