女将のゆみこです。

前回は利久箸のお話でしたね。

千利休さんが作ったお箸なのに

何故「利休箸」ではなく「利久箸」と

いうのか? という

商売人ならではの発想のお話もしましたね。

このブログを読まれている方で、

いつになったら食事のマナーに入るの?

と思われている方もいらっしゃるかも

しれませんが、もう少しお待ちくださいね。

 

食事のマナーには、お箸の知識も必要なんです。

だって、お箸は365日 1日3回ご飯を食べる人なら

なんと1095回もお箸を使っていることになるんです。

こんなに毎日、皆さんと一緒にいるお箸のことを

知らない、意識しないというのは、もったいないです。

お箸は皆さんの身体や心を作るため

皆さんの身体(口)と大自然の恵み(食材)の

架け橋(はし)になってくれているのです。

ということで、

今日はお箸の格についてお伝えしたいと思います。

 

しかし、いきなり「格」といわれてもどういうこと?

という感じでしょうね。

 

実は、お箸は、「祝い箸、割りばし、塗り箸」の順で

格付けされています。

まず、一番格が高いのが「祝箸」

お正月に使うお箸ですね。

昔、大和言葉で日常の食事の事を「ケ」と言い、

お正月などのお祝いごとの事を「ハレ」と言いました。

祝い箸は、お正月など「ハレの日」に使うお箸ですので、

一番格が上とされています。

また、

祝い箸には、柳の白木が使われます。

何故かというと柳の木は、

神の宿る霊木とされ(柳の下の幽霊じゃないですよ)

強い風に吹かれても折れず(正月早々箸が折れた縁起悪いと思っちゃう)

生命力が強く(お箸からエネルギーをもらっちゃう)

春一番に芽吹くので(おめでたいとされています)

何度もいいますが、

祝箸は一番格が高いのです。

 

とここまでは、皆さん納得されるのですが、

何故、二番目が割りばしになるの?と

よく言われます。

 

だって塗り箸の中には伝統工芸品として

螺鈿を使ったものや金箔をはったもの

素材に黒檀(こくたん)や紫檀(したん)を使ったお箸は、

お値段も高いし、作り手さんの想いが伝ってくるので

割りばしより格が上でしょ。

割りばしはお値段も安いし・・・

と思われると思います。

 

そう、そうなんですが、

お箸の格付けランキングでは

値段の格付けではないんですね。

 

お箸の格付けの定義(先人が大事にしたこと)は

「清浄観」です。

清く澄んだ、利他を重んずる心のことをいいます。

そして、清く澄んだものといえば

白色(穢れのない色)で、

使いまわさないものとされています。

あなただけの為に用意した、

穢れのない一回限りのお箸ですよ。

という相手のことを重んじたお箸ということで、

割りばしが塗り箸より格が上とされています。

お箸一つをとっても

和の心が表れていますね。

 

そして、このお話をすると

じゃ、お客様をおもてなしたときに

塗り箸より、割り箸を出したほうがいいとわかりましたが、

コンビニでもらうような割りばしでもいいのですか?

というご質問がありました。

 

その疑問よくわかります。

ということで、次回は

割りばしにも格があるというお話をしますね。

今回もお付き合いいただき

おおきに~