女将の裏野由美子です。
前回はその場その場にあった食事のマナーが
必要だとお伝えしました。
居酒屋には居酒屋のマナー
立ち飲み屋では立ち飲み屋のマナー
があるのですが、
マナーとは相手に恥をかかせない事でしたので、
やはり、会席料理のマナーを学んでおくと
全てに応用がききます。
![](https://wadokoro-reraku.jp/wp-content/uploads/2019/06/japanese-2046171_960_720-300x225.jpg)
ということで今回は、
料亭に入ったら
まず、草履(靴)を脱ぐところからお伝えします。
まず、草履(靴)は入船で、そのまま上がります。
はい、いきなり入船って何?ですよね。
船が港に入るとき、
船首を陸側に向けてそのまま入ることを入船(いりふね)といいます。
また、逆に船首を海側に向けることを出船(でふね)といいます。
ここから、玄関から入って靴を脱ぐ際、
入ってきたそのままの向きで上がる(つま先が部屋側)ことを
入船といいます。
そしてお家などでは、靴をそのままにせず、
玄関を上がり、靴の向きをかえ、出船状態にそろえるのがマナーなのですが、
料亭など、下足番(お客様の靴を収納する係の人)がいる場合は、
入船で上がり、あとは下足番の方にお願いします。
たまに、下足番の方にお願いせず、自分で靴とそろえられる方がいらっしゃいますが、
それはその人のお仕事をとる行為になるので、マナー違反です。
下足番の方は、プロなので「靴のにおいなどで、その方の体調を当てたりするそうです」
凄いですね。
なので、靴を入船で脱いだら、「お願いします」や「ありがとうございます」と
一言お声をかけてあとはお任せしましょう。
以前、禅僧の方とお話した時、修行の一つで、
みんなが脱ぐ草履をだれの草履かちゃんと覚えておき、
帰るときにその人の草履を出さないといけないというのがあり、
大変なんですよ!とおっしゃっていました。
その時ふと、豊臣秀吉のことを思い浮かべました。
秀吉も下足番から天下を取ったんだなぁ~
大将と話をすると、出船精神というものがあり、
いつでも確実に迅速に行動できるよう
準備を怠らないようにしようとする精神のことだそうです。
靴の脱ぎ方ひとつでも深いですね。