女将の裏野由美子です。
前回はその場その場にあった食事のマナーが
必要だとお伝えしました。
居酒屋には居酒屋のマナー
立ち飲み屋では立ち飲み屋のマナー
があるのですが、
マナーとは相手に恥をかかせない事でしたので、
やはり、会席料理のマナーを学んでおくと
全てに応用がききます。
ということで今回は、
料亭に入ったら
まず、草履(靴)を脱ぐところからお伝えします。
まず、草履(靴)は入船で、そのまま上がります。
はい、いきなり入船って何?ですよね。
船が港に入るとき、
船首を陸側に向けてそのまま入ることを入船(いりふね)といいます。
また、逆に船首を海側に向けることを出船(でふね)といいます。
ここから、玄関から入って靴を脱ぐ際、
入ってきたそのままの向きで上がる(つま先が部屋側)ことを
入船といいます。
そしてお家などでは、靴をそのままにせず、
玄関を上がり、靴の向きをかえ、出船状態にそろえるのがマナーなのですが、
料亭など、下足番(お客様の靴を収納する係の人)がいる場合は、
入船で上がり、あとは下足番の方にお願いします。
たまに、下足番の方にお願いせず、自分で靴とそろえられる方がいらっしゃいますが、
それはその人のお仕事をとる行為になるので、マナー違反です。
下足番の方は、プロなので「靴のにおいなどで、その方の体調を当てたりするそうです」
凄いですね。
なので、靴を入船で脱いだら、「お願いします」や「ありがとうございます」と
一言お声をかけてあとはお任せしましょう。
以前、禅僧の方とお話した時、修行の一つで、
みんなが脱ぐ草履をだれの草履かちゃんと覚えておき、
帰るときにその人の草履を出さないといけないというのがあり、
大変なんですよ!とおっしゃっていました。
その時ふと、豊臣秀吉のことを思い浮かべました。
秀吉も下足番から天下を取ったんだなぁ~
大将と話をすると、出船精神というものがあり、
いつでも確実に迅速に行動できるよう
準備を怠らないようにしようとする精神のことだそうです。
靴の脱ぎ方ひとつでも深いですね。