大将

明けましておめでとうございます。

昨年は11月に移転し、バタバタとした年末でしたが、たくさんの方にお越しいただき嬉しい限りです。ありがとうございます。

今年も皆さんに喜んで頂けるよう、美味しい料理と料理に合うお酒、そして、おもろい話を提供してまいります。また、色々な企画をしていきますのでよろしくお願い致します。

 

女将

皆さん本年もよろしくお願いいたします。

さぁ新しい年になりましたね。
早速ですが、大将の今年の抱負は何ですか?

 

大将

そやな、今年の抱負は「継続は力なり」やな。
わしは料理の世界に入って今年で48年目になるけど
よう、飽きもせず続いてるなぁーと思う。

 

女将

ほんまやね。
職人歴48年といえば大将の年齢ばれるけどね。

 

大将

わしは、生まれた時から包丁を握ってたからな。

 

女将

赤ちゃんが包丁握ってたら怖いわ!!

 

大将

ほんまやな(笑)

 

女将

「継続は力なり」か。
私たちも16年続けてきた店を一度閉めているから継続することの大変さや凄さは、身をもって体験しているからね。

 

大将

そやな。今、こうしてまた店を出して、昔のお客様が元気で来てくださる事が本当にうれしい。
また、新しいお客さまもどんどん増えているのもありがたい。

 

女将

本当に料理人を続けてきて良かったね。

 

大将

ほんまにそう思う。
特にわしらの世界は腕一本の世界やからな。

「継続は力なり」

実は、この言葉の本当の意味を、わしはある人間国宝の方から教わった。

 

女将

えっ、人間国宝さんから?
「継続は力なり」の本当の意味って、どういう事?

 

大将

以前ラジオで、伝統工芸作家の方が人間国宝に選ばれた時に、アナウンサーがインタビューをしてるのを聞いててん。

 

女将

何て、インタビューしてたん?

 

大将

それが「何故、人間国宝に選ばれたと思いますか?」やで!
何て、しょうもない質問するんやと思いながらも、何と答えはるんやろ。と思っていたら・・・

 

女将

何て、答えはったん?

 

大将

それがな
「ただ、人よりちょっと長生きしただけです。」と言われたんや。

 

女将

なんか、今、「ぐっと」きた。

 

大将

そやろ。わしは、その人間国宝の方のその一言で自分の人生も救われた気がした。その言葉の中にその人が歩んできた人生の全てが込められている。

 

女将

ほんまやね。人間国宝になりたいと思っても簡単になれるわけではない。みんな、初めから完璧に出来る人なんていない。師匠から教わったことを、毎日毎日繰り返し自分のものにしていく。

 

大将

今は、自分がやりたいと思ったことが、簡単にできる時代。そして嫌やったら、自分に合わないと思ったらすぐに辞めれる時代。

 

女将

そやね。いい評価がされなかったり、自分の思い通りの結果が出なかったら「自分には、この仕事は合っていない」とすぐにあきらめてしまうもんね。

 

大将

わしはお客様から、「大将はええな、好きなことを仕事に出来て」「寿司職人は天職やな」とよく言われるが、わし自身この仕事が天職かどうかはわからへんし、何十年やっても、まだまだ道半ばやと思っている。

だから、毎日同じことを繰り返すだけ。と思ってずっとやってきたけど、人間国宝になる人も同じ想いなんやと思ったら、感動して泣いてしもた。

 

女将

同じことを毎日繰り返すとしても、今日より明日と今より一生懸命、自分を磨くために時間を使えば、たとえその時、自分に合わない仕事であっても、無駄にはならないと思う。

 

大将

その通りやな。「継続は力なり」続けてこそ初めて見えてくるものもあるからな。

「人よりちょっと長生きしただけです。」
ただ、ひたすら同じことを人より多く繰り返してきただけ。

その結果、人間国宝になった。

何の飾りもなくその言葉を言えるあなたは、やっぱり人間国宝になる人や。

 

女将

大将もあと50年ぐらい続けたら人間国宝になれるんじゃない?

 

大将

・・・・

 

女将

長生きしてね!という意味やん。